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潰瘍性大腸炎

どんな病気?

大腸の粘膜が炎症でただれることにより様々な症状が起こる病気です。


大腸や小腸の粘膜に慢性に炎症が起こる原因不明の病気をまとめて「炎症性腸疾患(IBD:Inflammatory Bowel Disease)」と呼びます。潰瘍性大腸炎はこの炎症性腸疾患の代表的なもので、大腸の粘膜が炎症でただれることにより様々な症状が起こる病気です。直腸が病変の範囲に含まれるのがこの病気の特徴で、病変の広がりによって以下の通りの三つのタイプに分けられます。

 直腸炎型…炎症の範囲が直腸だけにとどまるもの
 左側大腸炎型…炎症の範囲が直腸から左側結腸(S状結腸や下行結腸)に拡がるもの
 全大腸炎型…炎症の範囲が直腸から左側結腸を超え、右側結腸(上行結腸や盲腸)にまで拡がるもの

また、この病気は臨床経過にも複数のパターンがあることが知られますが、代表的なものは以下の二つです。

 再燃緩解型…再燃と緩解を繰り返す
 慢性持続型…症状が慢性的に(6ヶ月以上)持続する

我が国における患者数は増加の一途をたどっていて、現在は全国で約8万人にも上ります。

症状は?

代表的な症状は、腹痛、血便(粘血便)、下痢です。


炎症によってただれた腸を便が通過する際に、痛みや出血が誘発されます。大腸は便に含まれる水分を吸収して便を形作る臓器なので、大腸の広い範囲に炎症があると泥状便または水様性下痢になります。また直腸の炎症によって直腸の機能が障害されると、排便により直腸が空になった後もいつまでも便が残っているような感じが続いたり(しぶり腹)、便意が頻回となり一日の便回数が10回以上になったりします。また、便意がこらえ難くなって便失禁をきたしてしまうことも稀ではありません。炎症がひどいとこうした症状に加えて、発熱、倦怠感、食欲不振、嘔気といった症状が加わることもあります。

診断方法は?

問診、診察、血液や便の検査、内視鏡検査等によって診断を行います。



治療は?

(1)5‐アミノサリチル酸製剤


大腸の炎症を抑えるための薬としてほとんどの患者さんで用いられるのが 5-アミノサリチル酸製剤です。5-アミノサリチル酸製剤は薬の成分が腸の粘膜に浸みこむことで抗炎症効果が発揮されます。このカテゴリーに属する薬のうち、現在我が国では以下の三剤が使用可能です。

【サラゾピリン】
50年以上の歴史のあるオレンジ色の薬。服用中は尿も(場合によっては汗等の体液も)オレンジ色になるので毒々しい感じがしますが、発熱や発疹といったアレルギー反応さえ出なければむしろ非常に安全で安価な薬です。男性の場合、服用中に精子が減少し不妊の原因となることがありますが、服用を中止すれば精子数は元に戻りますし、奇形を誘発する訳ではありません。内服薬として使われることが多いのですが、直腸の炎症をターゲットとした同じ成分の座薬もあります。

【ペンタサ】
サラゾピリンのアレルギーを回避するために開発された薬です。アレルギーの頻度はサラゾピリンより低い一方で、ペンタサは発熱するのにサラゾピリンでは副作用がでないという患者さんもいます。ペンタサは小腸に炎症が生じるクローン病という病気の治療も意識して作られた製剤です。小腸の粘膜にも薬が浸透するようにできているので、逆に口から一番遠い直腸には薬が十分到達しないことがあるのが欠点です。ただし、薬の量を増やせば十分な治療効果が得られることも少なくありません。この薬は内服薬以外に、注腸という肛門から注入する液体製剤があり、直腸からS状結腸に薬剤を十分に浸透させる目的で使用されます。

【アサコール】
サラゾピリンのアレルギーを回避しつつ潰瘍性大腸炎の病変部に薬が十分到達するように、というコンセプトで開発された薬です。他の薬よりアサコールが効くという患者さんもいますが、薬が溶けないまま便に混ざって出てくることもあるので個々の患者さんに合うかどうかは試してみないとわからない部分があります。加えて、我が国では承認されてから日が浅いので現時点では一度に14日分までしか処方できないという難点があります。この薬は内服薬しかありません。
比較的症状が軽い患者さんの場合はこうした薬を使用するだけで十分な治療効果がでます。症状が良くなったからと言って薬を中断してしまうと数か月または数年後に再燃してしまうのがこの病気の特徴なので、緩解を維持していくために薬を継続していくのが原則となります。緩解維持の目的は、炎症が再燃することで日常生活に支障が出るのを予防するということに加えて、炎症に伴う大腸癌発症のリスクを低く抑え込んでいくということにあるので、症状が我慢できる程度であったとしてもしっかり薬を使って炎症を鎮めることが非常に重要です。

(2)ステロイド


5‐アミノサリチル酸製剤で効果が不十分な場合に炎症をしっかり抑え込むために使う薬です。この薬には経口剤(プレドニゾロンなど)、注腸(ステロネマ、プレドネマ)、座薬(リンデロン)があり、炎症の範囲や程度に応じて使用されます。ステロイドの経口剤は様々な副作用のリスクもあり入院設備のある医療機関でないと処方できませんが、注腸や座薬といった局所製剤は当診療所も使用可能です。なお、ステロイドはあくまで緩解を導入するための薬で緩解維持効果は期待できないため、5‐アミノサリチル酸製剤で緩解が維持できない場合は下記のロイケリン・イムランの服用が望まれます。

(3)ロイケリン・イムラン


ロイケリンとイムランは免疫調整剤というカテゴリーに属するお薬です。炎症は白血球という細胞がバイ菌やウィルスと闘う際に見られる現象ですが、退治すべき病原体がある訳でもないのに大腸を舞台にして白血球が必要以上に活性化してしまうのが潰瘍性大腸炎なので白血球を少しおとなしくすることで炎症を落ち着かせる、というのが免疫調整剤のコンセプトです。一昔前は免疫抑制剤という言葉が使われていたのですが、言葉の響きが多くの患者さんの不安をいたずらに煽ってしまうため、実情に即した免疫調整剤という言葉が用いられるようになってきています。
代表的な薬はロイケリンという粉薬とイムランという錠剤で、本質的には同じ薬です。(難しい言葉で言うとイムランはロイケリンのプロドラッグで、体の中に入るとロイケリンと同じ成分に変化します)。これらの薬は効果がゆっくり現れるのが難点で、飲み始めてから効果が最大限になるまでに2か月もの期間を要します。この薬のもう一つの難点は、患者さん一人一人の体質によって丁度良い量(至適量)が異なるということです。服用量が至適量よりも少なければ効果があまり出ませんし、逆に服用量が多すぎると白血球減少や脱毛といった重篤な副作用が発現してしまいます。日本人患者の場合ロイケリンの標準量は30mg/日なのですが至適量は5mg/日~80mg/日と非常に幅が広いので、じっくり時間をかけて量の調整をしていくことが必要になります。それでもひとたび至適量が設定できるとその後はその量のままでずっと緩解状態が維持できるので重宝される薬です。

(4)タクロリムス


この薬も免疫調整剤に属する薬ですが、速やかに効くため緩解導入に用いられます。飲み薬ではありますが量をきめ細かく調整する必要があるので投与量が安定するまでは入院中の患者さんにだけ使うのがルールになっています。

(5)白血球除去療法

  
炎症を起こしている白血球を体の外に取り除くことで炎症を鎮静化させるというコンセプトの治療です。当診療所には設備はありませんが実施施設をご紹介することは可能です。

当診療所のおける潰瘍性大腸炎の診療について

潰瘍性大腸炎の診療は原則として水曜日に限らせていただきます。


当診療所のメリットとしては、夜8時まで診療しているということがあげられます。通院のために学校や会社を休みたくない患者さんに是非ご利用いただければと存じます。
なお、当診療所には内視鏡も入院施設もないため、必要に応じて慶應義塾大学病院および北里研究所病院の関連部門と連携しながらの診療となります。また、消化器内科の専門医の診療が水曜日だけなので、潰瘍性大腸炎患者さんの診療は原則として水曜日に限らせていただきます。


担当医師 矢島 知治 (水曜日) ※変更の場合あり

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